研究所内のガスの安全性について
現代の研究所は、日々の研究に大量のガスを用いています。この記事では、研究所での最も一般的なガス供給方法のうち二つについて、その安全面のリスクと利点を詳しく紹介します。
研究所ではクロマトグラフィー(GCやLC-MS)や分光学、蒸発光散乱検出、試料調製などさまざまな研究方法に大量のガスを使用します。ヘリウム、水素、窒素はこうしたことに利用されるガスで最も一般的なものです。
ガスは一般的に、以下の三つの方法のうちどれかを用いて研究所に供給されます。
• デュワー瓶
• ガスボンベ
• ガス発生装置
ガスボンベは従来の最も一般的なガス供給法で、いまだに世界中の研究所で広く使われています。もしご自身の研究所でボンベをお使いの場合、安全面において以下の点に注意しましょう。
1. ボンベは火気から離れた、冷たく乾いた場所で保管してください。可燃性のボンベは酸素や水素のボンベから離れた場所に保管してください。
2. ボンベを動かしたり蓋を外す時は注意してください。内部のガスは高い圧力で加圧されています。
3. 使用中のボンベは3年ごとにチェックが必要です。腐食性ガスの入ったボンベは2年ごとに検査し、条件を満たさないボンベは使用しないようにしてください。
4. 水素ボンベは研究所から離れた専用の場所に保管します。銅またはステンレススチールの配管で研究所内につなぎ、勝手に開封されることのないよう確認しましょう。配管は水素が大量に漏れるのを防ぐため、定期的に漏れがないかチェックしましょう。
5. ガスボンベの容量すべてを使わないようにするのが、最良の使用法です。通常、最後の10%は、水分、炭化水素、その他不純物を含んでおり、機器を汚染する可能性があるので使用しないようにします。ボンベ内の圧力は空気がボンベ内に入ることを防いでいるので、残っている圧力が0.5MP(70 psi)より下にならないようにした方が良いでしょう。
6. ガスボンベを使用する際は、圧力リリーフ弁を持つ二段式レギュレータを使用してください。可燃性ガスは左ねじを持つレギュレータが必要です。圧力レギュレータと弁をゆっくりと開閉することが大変重要です。最初にボンベの圧力を確認し、推奨のガス圧力が虚給されるまで、慎重に機器へ供給します。
7. 高圧ボンベを使う際は、担当者は事故を避けるためボンベ接続部の正面には立たないようにしましょう。接続したら、漏れがないか定期的に点検し、圧力ゲージに注意を払ってください。
8. 水素ボンベは特別なレギュレータを用いる必要があります。また油との接触は厳禁です。水素は可燃性が大変高いため、担当者はこのボンベを扱う時には、静電気を起こしたり火花を出すような素材の服を着てはいけません。すべての可燃性、燃焼性のガスボンベは火気から10mよりさらに離れた場所に保管します。それが不可能な場合はアイソレーションやその他の安全策を採用しましょう。
これらの注意点に沿うことで、ガスボンベをできるだけ安全に使用することができます。しかし、ガスボンベは元来危険性が高く、多くのリスクを研究所の環境にもたらすものです。研究所で使用するガス供給方法の選定、見直しの際には、こうしたリスクを慎重に考慮すべきです。
ガスボンベの安全面におけるリスク
ガスボンベの取り扱いにはリスクが伴います。研究所のスタッフは、ガスボンベを動かすたびに怪我をするリスクを抱えているのです。そして、研究所のガス使用状況によっては、ボンベは時に毎週、または数日ごとに移動させる必要が出てくることもあります。ガスボンベは大きく重いため、安全に動かし、重い物を動かす際に生じがちな背中や筋肉の損傷を避けるには、訓練を積まなければなりません。ボンベを移動させる時は、適切なボンベ用台車を使いましょう。もし移動中にガスボンベが落ちたり損傷したら、運搬担当者が怪我をする可能性が生じ、また周辺にいる人にとっての大きな危険となります。例えば、水素ボンベが損傷すれば爆発が起きたりロケットのようになったりする恐れがあり、厚いコンクリートすら突き抜けてしまうほど危険なものとなるのです。
ガスボンベによっては、その危険性をすぐに見つけることができない場合があります。例えば、窒素ガスボンベに漏れが生じた場合は、窒息を引き起こす場合があります。通常、窒素ガスボンベには9000リットルもの窒素ガスが高圧で圧縮されて入っているので、漏れが生じた場合、窒素がすぐに周辺の酸素に取って代わってしまいます。空気中の酸素が18%より少なくなると認知機能に障害をもたらし、6%を切ると瞬く間に卒倒、脳の損傷を引き起こします。
ガス発生装置の使用における安全上の利点
幸いにも、ガスボンベの代わりにガス発生装置を使用することで、こうした危険をすべて避けることができます。
ガス発生装置は、研究所の機器の必要に応じたガス供給が可能です。つまり、1回につき最小限のガスしか保持しません。水素発生装置が保持するガスは水素の爆発下限界濃度(LEL)である空気中4.1%に達することはありません。一般的な研究所では、LEL に達するには2050リットルの水素が必要となります。水素ボンベは通常9000リットルの水素を含んでいるので、漏れがあると数分でLELに到達しかねません。一方、Peak Scientificの水素ガス発生装置は1分間に500ccの水素しか生成しないため、同じ研究所が密封されている状態に限り、LELに到達するのに約3日かかることになります。
Peak Scientificの水素ガス発生装置はすべて、安全面における以下の特徴を持っているため、こうした結果になることは大変稀であると言えます。
• 起動時に内部の漏れチェック
• 外部の漏れ検知機能
• 漏れを防ぎ圧が高くなるのを防ぐための圧力監視機能
• 高圧状態において自動でセルをシャットダウン
• 音と視覚によるアラーム機能
ガス発生装置はボンベの移動や交換の際に生じるリスクを全て回避できます。一度設置したら、動かす必要はないからです。定期的なメンテナンスをすれば装置は一貫したガス供給を行い、ガスボンベのようにガスが切れたり交換が必要になったりすることはありません。
研究所内の安全性を改善するためにガスボンベからガス発生装置へのアップグレードを検討中であれば、嬉しいお知らせがあります。ガス発生装置はボンベより安全なだけではなく、経済的かつ安定性も高いのです。ガス発生装置は一貫した純度のガスを生み出します。ガスボンベではこうはいかず、ボンベによって、または同じボンベでも最初と最後で純度が違うこともあります。このため、ボンベを90%使用した時点で交換することが推奨されているのです。残りの10%は、機器や分析に影響を及ぼす可能性のある水分や炭化水素を多分に含んでいることがあるからです。
ガス発生装置の安全面の利点に加え、さらにこの投資に対するリターンを18ヶ月以内に回収することができます。つまりガスボンベをレンタルし続けるよりもずっと経済的な方法なのです。ボンベ内のガスは年々価格が上がっており、また配送費やレンタル費用も同様です。ガスボンベは不便なタイミングで使い切ってしまったり、交換のために機器の稼働を一時停止しなければいけなかったりもします。
ガス発生装置は、ガスボンベを扱う時に生じるリスクをすべて回避でき、また爆発や窒息などのリスクも大幅に少なくなります。さらに、研究所でのガス供給においてガスボンベより安全な方法というだけでなく、より経済的であり、また安定したガス供給を実現できる方法でもあります。
ガスボンベを使用する際のリスクと不便性を回避するためガス発生装置に切り替えるには、Peak Scientificにお問い合わせください。さらなる詳細については、弊社ウェブサイトをご覧ください。
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