公開された
2nd 9月 2020

このガイドで、ガスクロマトグラフのキャリアガスをヘリウムから水素に変えるためのメソッドを学びましょう。

ガスクロマトグラフのキャリアガスをヘリウムから水素に切り替えるため

このガイドで、ガスクロマトグラフのキャリアガスをヘリウムから水素に変えるためのメソッドを学びましょう。

近年のヘリウムの価格の上昇と、ガスクロマトグラフのキャリアガスとして水素を使うメソッドが増えてきていることにより、キャリアガスを切り替えようとしている研究所が増えています。このステップ・バイ・ステップガイドは、ガスクロマトグラフのキャリアガスをヘリウムから水素に変えるために必要な情報を提供いたします。ガス発生装置で生成した水素は、安全かつ安定したガス供給を可能にし、ボンベを使用するよりも環境に優しく便利な代替ガスです。

お使いのメソッドがヘリウムから他のキャリアガスへの切り替えに適しているかご理解いただけたら、このガイドが示す通りの手順に沿っていただければ、キャリアガス切り替え時のよくある落とし穴にはまることなく、素早く代替キャリアガスを手に入れられます。もし特定のメソッドがヘリウムガス切り替えに適用できるか不明な場合は、弊社にご連絡ください。お手伝いできることかもしれません。

 

 ステップ1.現在のメソッドに関するすべての情報と機器のコンディションの把握

1.ソフトウェア内のガスクロマトグラフィーで使用するメソッドをすべて見直し、ハードコピーを取ります。

2.分析のメソッドにおける流量を確かめるため、ガスクロマトグラフの漏れ点検をします。

3.メソッド内のすべての流量(セプタムパージ流量、分流量、キャリアガス、使用する場合はガス検知器)を測り、定量にきちんと合っているかを確かめます。

4.使用しているキャリアガスのLV値を記録しておきます。

5.サンプルを流してシステムを監視し、流量が安定しているかを確かめます。もし何か変化があった場合は記録しておきます。

6. キャリアガス切り替え後の結果を比べるために、良いクロマトグラムの記録を残しておきます。

例:

Reference Chromatogram              リファレンスクロマトグラム

 

ステップ2. キャリアガスを切り替える前に ガスクロマトグラフの通常のメンテナンスを行う

1.注入口セプタムを交換します。お使いのガスクロマトグラフに合った低ブリードのセプタムを使います。

2.ライナーを交換します。テーパーライナーは水素をキャリアガスとして使用したガスクロマトグラフィー分析の結果を改善する可能性があります。テーパーライナーをご使用でない場合、システムのセットアップ前に新しく購入されることを推奨いたします。

3. ガス清浄装置をご使用の場合、それも使用年数によっては新しいものに取り換えることを推奨いたします。

4. ガスクロマトグラフィー–質量分析法を用いており、クリーニングが必要なイオン源を使用している場合、これをクリーニングの機会としましょう。水素のキャリアガスはヘリウムよりも長くイオン源のコンディションを維持するので、クリーニング頻度は以前より減るはずです。

5. 状態が良ければ同じカラムを使い続けることが可能です。水素をキャリアガスとして使用する際の、新しいカラムの調整についての詳細は下記をご覧ください。

 

ステップ3.新しい管の設置

1. ヘリウム供給に使っていた管は破棄してください。同じ配管を水素供給に使った場合、バックグラウンドの上昇が起こり、効果的な分析を行えなくなってしまいます。メイクアップガスをヘリウムから水素に変える場合も、やはり配管を取り換えることを推奨いたします。

2. 機器から3m(10フィート)以内の場合、研究室グレードで1/8インチの銅またはステンレススチールの管をご使用ください。もし3m以上の距離でガスを送る場合は、1/4インチの管を使用し、各ガスクロマトグラフで1/8インチに縮小することが必要となります。Peak Scientificはこのセットアップもお手伝いいたします。

3. ガスクロマトグラフィー–質量分析法を行う場合、水素発生装置とガスクロマトグラフの間には1本のみ接続します。

4. すべてのフィッティングはコンプレッションフィッティングでなければなりません。シーリング剤を使ったり溶接による接続を行わないでください。それにより揮発性有機化合物(VOCs)がガス流に入り込み、システムを汚染する可能性があります。

水素炎イオン化型検出器に接続する場合は、一つの発生装置でキャリアガスと燃料ガスどちらも供給できます。両方のガス注入口に接続するためには、発生装置から1本の供給管をつなぎ、キャリアガスの注入口と燃料ガスの注入口の間にT型の管を接続してください。ご不明な点がありましたら、Peak Scientificにお問い合わせください。発生装置と機器の接続方法についてアドバイスいたします。

 

ステップ4.  ガスクロマトグラフへのガス供給

ガスクロマトグラフへガス供給をするためのガス発生装置は、製造元の現場設置指示に従って設置してください。

ガスクロマトグラフに接続している管に漏れがないことを漏電検知器を用いて確認してください。液漏れ検知器は使用しないでください。ガス管の汚染を招く原因になります。

ガス検知器への供給:

1. 検知器が水素を必要とする場合、発生装置を起動し、発生装置とガスクロマトグラフをつなぐ管すべてに漏れがないか確認してください。

2. 検知器が窒素のメイクアップガスを必要とする場合、ガスクロマトグラフの電源を入れる前にその管もまた漏れがないか確認してください。

3. 検知器が空気を必要とする場合、ガスクロマトグラフの電源を入れる前にその管もまた漏れがないか確認してください。

4. ガスクロマトグラフの電源を入れ、注入口のガス流がオフであることを確認し、検知器の信号が安定するのを確かめてください。

 

キャリアガス供給

1. すでに設置済みのカラムを使用する場合、入口圧力の電源を入れカラム内にキャリアガスを流してください。

2. 新しいカラムを導入する場合は、ガスクロマトグラフの注入口に正しく設置されているかを確認します。カラムの調整が必要な場合は、検知器に接続しないでください。ガスクロマトグラフ製造元のガイドラインに従って、接続部で漏れがないか確認しながらカラムを注入口に接続してください。

3. ガスクロマトグラフィー–質量分析法でキャリアガスとして水素を使用してカラムを調整する場合は、検知器を慎重にガスクロマトグラフのオーブン外のカラムの端に配置し、カラムを壊さないように注意しながら慎重にオーブンの扉を開けてください。以下で例をご覧いただけます:

column conditioning

4. キャピラリーカラムに水素を流し、酸素とその他の不純物をカラムから取り除きます。

5. 設置したカラムに推奨されるヒーティングの設定と温度を確認してください。

6. RESTEK 一般的なカラム調整ガイドはここからご覧になれます。

7. カラムの調整が終わったら検知器の電源を入れてカラムを接続し、安定するまで最低1時間はお待ちください。

 

システムチェック

1. カラムの調整が終わったら検知器に接続し、安定するまで最低1時間はお待ちください。

2. すべての定値がシステムによって満たされているか、安定しているか確認します。

3. ブランクサンプルを流し、検知器のベースラインが安定しているかを確認します。

4. キャリアガスのLV値を調整し、ヘリウムをキャリアガスとして使用していた時の値に合わせます。ヘリウムと同じLV値、同じオーブンの温度設定で水素を流すことで、ほぼ理想的な結果が得られます。ヘリウムを使用した時のクロマトグラムと、水素を使用した時の結果を比較してみましょう。ピークは同時に溶出しますが、やや異なる形となることがあります。このアプリケーションノートでは、キャリアガスを切り替え、同じキャリアガスのLV値を保つプロセスを説明しています。

5. ヘリウムをキャリアガスとして用いたクロマトグラムと新しいクロマトグラムを比較し、すべてのピークが溶出していること、保持時間が一貫しているかを確認してください。ピークの分離が多くあった場合は、メソッドを最適化して、キャリアガスのLV値を増やし稼働時間を短くできます。メソッドによっては分析時間を半分に減らすことも可能です。

6. 混合物内のすべてのピークを識別できるか確認します。メソッドを再検証するために校正標準を流してください。

 New Chromatogram                 

新しいクロマトグラム

最高のガスクロマトグラフィーのガスをセットアップするには     

 

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